<科学の目的>

   科学とは現実世界の本質や世の中の因果関係を知ることです。ある意味、仏教で追求している因果関係にも通じるものがあるのですが、それはひとまず置いておき、科学の本質をもう少し正確に表現すれば、現実世界を体系付け、普遍的な法則を見つける、同時にその法則の成り立つ範囲を明確にする作業と言えると思います。即ち、ある一定の条件の下で、どこでも成り立つ規則を検証していくことです。物体が落下する際の運動方程式然り、ボイル・シャルルの法則然り、発売されている薬が風邪に効果があるかどうかも、その効果が検証されて(風邪にこの薬は効果がありますという規則が公に認められて)初めて発売が認可されます。物体の落下もボイル・シャルルの法則も、薬が効くことも、ある条件の下で何度も再現されるので、世の中で信用されて利用されているのです。突き詰めて言えば、ある条件の下で規則に『再現性』が認められることが重要で、まさにそのことが科学が利用される力の源です。

 

   さて、この再現性はどの様に確かめられるでしょうか?それを順を追って見ていくのが本ブログの目的です。それには、現実世界をモデル化し、仮説を立てて検証していくというステップをとる必要があります。そのプロセスを説明していきます。説明する過程で、自分という存在、つまり自我が具体的に何をやっているかが理解できれば、自ずと科学の限界や欠点等が分かり、どういう使い方が有効かが理解して頂けると思うからです。

 

“The Lady Tasting Tea; how statistics revolutionized science in the twentieth century”という本の一節に”Good scientists would be able to construct experiments that produced new knowledge. Lesser scientists would often engage in “experimentation” that accumulated much data but was unless for increasing knowledge.という一文があります。このGood Scientistsが、どのように世の中を観て新しい知識を獲得していく様を体験していくことになると思います。

 

   私は、科学で検証された規則は現実に力を持つ言霊の様なものだと思っています。つまり、その条件下では、自然とその規則通りになる可能性が非常に高い、つまり検証された規則は“現実に力を持つ”と言うことです。例を挙げると『ボールを離すと落ちますよ』、『この風邪薬は(効果が検証されているので)効きますよ』ということは現実に起こるので、ある意味言霊だと思っている、ということです。