<はじめに言葉ありき>

今回と次回で、抽象化と要素還元主義について説明したいと思います。
    
    我々は考える際、普通、言葉を使います。ここでは、その言葉の産まれる瞬間に注意を向けてみましょう。実感して貰う為に、お気に入りの写真か何かを用意してください。もし面倒であれば、下に張り付けた写真を使っても構いません。まずは写真を見て、感じるままに色々な言葉が浮かぶ様を観察してください。感じ方は人によって様々だと思いますが、色々な言葉が浮かんで来たのではないでしょうか。『きれいな景色』、『行ってみたい』、『以前訪れたことがある』、『自分ならもっとこういう風に写真を撮る』、『山に行って澄んだ空気に触れたい』、『青いきれいな海』、『涼しそう』、『木がいっぱい』、『空の青と木々の緑が気持ちよさそう』、『昔、誰某と旅行して楽しかったなあ』といった数々の言葉や、窓や人の数を表す数字、山の高さや水平線迄の距離かもしれません。

f:id:vulcanB1:20190114223901p:plain f:id:vulcanB1:20170723194348j:plain


    ここで止まって考えていただきたいのは、多くの場合、人は現実の世界を言葉に写し取り、抽象の世界で思考しているという事です。即ち、言葉に置き換えることにより抽象化して、物事を考えているということです。

    更にもう一歩踏み込んでみましょう。現実を言葉に置き換える過程で“自我というフィルター”が入っているのを分かっていただけるでしょうか。写真を見て『行ってみたい』、『美しい』と感じたのはあなた自身ですし、『海』や『山』、或いはその中にある数を数えたり、距離を測ったり、色等、言葉に移し替える対象を選んだのもあなた自身であり、同じ写真でも感じ方は人によって違うと言うことです。美しさを感じて思わず『わーッ』という言葉を発したり、分析的に数を数えようとしたのもあなた自身です。そして、それは個人の感じ方やその時に必要とする情報によって違うと言うことです。現実には実物がありますが、そこから対象を選び意味を汲み取ったのは、他でもないあなた自身なのです。

    『ありのままに観る』という言葉を聞いたことがあるかもしれません。または『色即是空、空即是色』という言葉。あなたのフィルターを取り払って、この世界を観たらどう見えるでしょうか。一方、あなたのフィルターを通して見た世界はどうでしょうか。あなたのフィルターは鍛えようによって素晴らしい世界を捉え続けるかもしれません。それはあなたのセンスであり、才能であり、感動することによって鍛えられます。
『自分自身の目で見、自分自身の心で感じる人はとても少ない』アインシュタイン  
http://iyashitour.com/meigen/greatman/einstein 

『なぜデカルトは虹を研究したと思う?虹を美しいと思ったからだよ。』ファインマンさん最後の授業より

この一連のブログが終わる頃迄には、これらの言葉の意図することが実感を持つようにお伝えできれば幸いです。