2019-01-01から1年間の記事一覧

<世界をモデル化する。抽象化された世界で考えるということ。>

今回は、<はじめに言葉ありき>でお話しした抽象化についてもっと科学的な面から掘り下げていきたいと思います。 さっそくですが、皆さまが高校物理で習った次の式“v=gt”は現実か?というところから始めさせていただきます。この式の意味するのは、“物体の…

<検出力は悪魔を倒せるか?>

前回、前々回と相関関係の中から因果関係をいかに見つけていくかについてお話ししてきました。その中では、我々が世界をデータとして捉え、数学を使って解析する時、相関関係しか分からないので、データの取得方法や解析の条件をコントロールし、因果関係を…

<後ろ向き研究と因果関係>

今回は前回<結果と相関関係にある因子いろいろ>の続きで、後ろ向き研究を相関関係と因果関係の観点から考えていきたいと思います。始めに探索的な解析を説明し、次にケース・コントロール研究を見ていきたいと思います。 前向き研究の説明では、リサーチク…

<結果と相関関係にある因子イロイロ>

今回は、前回<因果関係と相関関係>で述べた『データを時間毎に細かく区切り、前後関係を考慮しつつ解析することは因果関係を探る上で役に立ちますが、それも原因と結果の関係が予め予想がついている場合だけで、それが未知の状態ではデータベースの解析か…

<因果関係と相関関係>

前回までは、事象間の因果関係を検証する方法について話してきました。今回は、“因果関係”と“相関関係”の違いについて書きます。ぶっちゃけ言うと、原因は結果の前に来るという当たり前に思える話をします。但し、ここを注意深く認識しておく事で、データベ…

<ランダマイズ化で交絡を断ち切る>

前回は交絡因子と言う実在する怪物の話をし、その対処法の一つとして層別化を紹介させていただきました。そして、その層別化にも限界がありそうだ、ということもお話ししました。今回は、もっと根源的な意味で最強の対処法であるランダマイズ化について説明…

<交絡因子という実在の怪物>

統計を学んでいると“悪魔の証明”に出てくる“悪魔”の正体が理解できるようになります。この“悪魔”については、一たびそのの正体が分かると対処法は比較的簡単です。何故なら、それは我々の心が産み出した思い込みだからです。しかし、今回紹介する“交絡因子”…

<反実仮想モデルで因果関係を検証する>

因果と言うと、哲学や仏教を思い浮かべる人もいるかもしれませんが、科学においても重要なテーマです。というか、科学という作業は因果関係を明らかにしていくことに他なりません。例えば、物体は何故落下するのか?何故、液体が蒸発して気体になるのか?特…

<ヨーダの言葉>

今回は<仮説と検証>の補足をお話します。目の前に起こった事柄を観察して、因果関係を考え、それを仮説として検証するのが科学者の役めだというお話をしました。これは、目の前に起こった事柄から仮説を思いつき、検証もせずに感覚的に自分が正しいと主張…

<仮説と検証>

今回は仮説と検証について説明します。家に帰ると愛猫のミーちゃん(仮名)がゴロニャンと迎えてくれます。『よしよし、私の事を好きで待ち遠しかったんだね』と言って溺愛したりします。そこへ家内『ただ、餌をねだってるだけじゃない?』等と言われたら、…

<要素還元主義と科学の限界を自覚する>

前回、我々は物事を論理の世界で考える際には、言葉を使って、つまり抽象化して世界を見ているというお話をしました。今回は、この抽象化の過程が科学の世界でどの様に使われているかをもう少し丁寧に見ていきたいと思います。 実際にある薬を例にして説明し…

<はじめに言葉ありき>

今回と次回で、抽象化と要素還元主義について説明したいと思います。 我々は考える際、普通、言葉を使います。ここでは、その言葉の産まれる瞬間に注意を向けてみましょう。実感して貰う為に、お気に入りの写真か何かを用意してください。もし面倒であれば、…

<科学の目的>

科学とは現実世界の本質や世の中の因果関係を知ることです。ある意味、仏教で追求している因果関係にも通じるものがあるのですが、それはひとまず置いておき、科学の本質をもう少し正確に表現すれば、現実世界を体系付け、普遍的な法則を見つける、同時にそ…

<はじめに>

このブログでは、科学的な考え方、科学的な物事の見方についてお話をしていきたいと思います。と申しますのは、周りを見ますと世間のごく一部の日本人を除いて、その様な物事の見方のできる人が年々少なくなっているように感じられるからです。逆に、米国を…